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最高裁判所第三小法廷 昭和34年(オ)613号 判決 1960年11月29日

主文

原判決を破棄し一審判決を取り消す。

本件を福井地方裁判所に差し戻す。

理由

上告代理人弁護士金井和夫の上告理由は別紙のとおりである。

上告人は本訴を提起して、被上告委員会が土地改良法に基き昭和二八年二月二〇日定めた農地の交換分合計画のうち、上告人に関係のある原判示(イ)、(ロ)、(ハ)の土地についてその無効確認を求めるものであることは記録上明らかである。

本件一、二審判決は、右交換分合計画は七筆の土地を包含する一箇の行政処分であり、その一部について無効確認を求めることはゆるされないとし、本訴を不適法としているのである。しかし、右交換分合計画のうち上告人が無効確認を求める土地以外の土地は上告人の権利と全く関係のない土地であつて、いかなる交換分合が行われても上告人の利害とは関係がなく、上告人としてはその無効確認を求める利益を有しないのである。原判決は計画は不可分であつてその一部のみを無効とするときは不合理な結果を生ずるというのであるが、本件計画を必ずしも不可分と考える必要はなく、若し上告人関係部分を無効とした結果原判示のような不合理を生ずるならば、被上告委員会が計画の一部または全部を変更するか、あるいは廃止することによつてその不合理を是正すれば足りるのである。本件一、二審判決のような理由によつて上告人の権利の主張を妨げることはゆるされないものというべく、本訴を不適法とした一、二審判決は破棄、取消を免れない。

よつて、民訴四〇八条三八八条に従い裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 河村又介 裁判官 島 保 裁判官 垂水克己 裁判官 高橋潔 裁判官 石坂修一)

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